25.02.07「今一度、溶接入熱・パス間温度を考える」講習会のご案内

2025.01.07

この度、JSCA中部支部鉄鋼系部会では、2013年に4回シリーズで講演いただいた神戸大学名誉教授 田渕先生を再度お招きし、本講習を開催する運びとなりました。

【講演主旨】
鉄骨造建物の溶接施工に際しては、母材強度より溶接金属強度を高くする(オーバーマッチング)ために、入熱・パス間温度を管理する必要がある。このため、2000年より建築鉄骨製作工場が国土交通省の大臣認定を得るには、入熱・パス間温度が適切に管理されていることが工作基準などに明記されていること、および工場での溶接施工が基準に従って適切に行われていることが審査される。この規定が導入された20数年前には、これまでほとんど意識しなかった新しい2つの規定値を守るために、極めて厳しい管理方策が提示され今日に至っている。あれから20年以上が経過した現在、入熱・パス間温度に関する多くの知見が集積され、溶接施工管理の合理化が提案されているにも関わらず、基本的には20年以上前の管理方法が実行(工場審査で要求)されている。
一方で、2020 年に大問題になったCOVID19では、マスク、手洗い、接触禁止(対面会議禁止、会食禁止)などで、極めて厳しい管理下での生活を約3年間過ごした後、今ではマスク無しで飲み会、対面会議を普通に行っている。この感染症が終息した訳ではないのにも関わらずである。もちろん、3年間を通してこの感染症に関して種々のことを学んだのが理由であるが、それでは、入熱・パス間温度に関しては、関係者は20年間でほとんど何も学ばなかったのだろうか?
COVID19の発症により多くの死者が出たことが、日常生活に様々の制約が課せられた原因だとすると、入熱・パス間温度管理が導入され、様々の管理に時間と経費を費やすようになったのは、1995年の兵庫県南部地震における溶接接合部の損傷がきっかけである。それでは、この地震で何棟の建物の接合部に溶接金属の損傷が生じたのだろうか?本講義では、まずこの問題からスタートし、次いで2000年に導入された入熱・パス間温度の管理値の意味することに言及する。これらを踏まえて、溶接金属に関する実験結果に基づき、溶接施工管理の合理的な方法を提示するので、設計・工事監理、製作それぞれの立場で適切な溶接施工管理を議論して欲しい。今の施工管理方法はあまりにも合理性に欠けている。

設計者にのみならず、ファブリケータの皆様にも多数ご参加いただければと思います。
(CPDプログラム申請、構造士更新点申請済)

□ 日時  令和7年2月7日(金曜日)18:00~20:00(17:40より受付開始)
□ 会場  鹿島建設株式会社中部支店16F 大会議室
□ 参加費 JSCA会員500円、非会員1,000円 当日受付にてお支払いください。
□ 定員  50名程度(先着順:1/31〆切)
□ 講師 神戸大学 名誉教授 田渕 基嗣 
 ㈱日本鉄骨評価センター 評価業務委員会委員長 BH認定委員会委員長
 (一財)日本建築センター 鋼構造審査委員会委員長
 日本建築学会 鉄骨工事運営委員会・JASS6改定小委員会(第7次改訂版2007年2月)主査
 (一財)日本建築センター編 2018年版冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル 編集委員会委員長
□ 申込方法:申込み用紙に必要事項を記入のうえ、1/31(金)までにJSCA中部支部事務局までお申し込みください。尚、会場の都合により定員に達し次第締め切らせていただきます。